9月夜カフェレポート*3社にきいた、女性サポート制度最前線!

日時:2013年9月20日(金)19:00-21:00

場所:SOZO+ 地図・アクセス

 

今回の夜カフェでは、会社も私も幸せになる女性サポート!」というテーマで形態も規模も業界も違う、3社で働く女性シャインさんにお越しいただき、それぞれの会社で取り組まれている女性サポート制度や、その方針についてお話いただきました。

お話していただくのはこの3社

まず、お話いただいた3社についてご紹介します。

 

株式会社藤井大丸 業務推進部課長(人事担当)
上杉 雪恵 さん

株式会社藤井大丸は女性社員の多い会社です。産休・育休の取得も珍しいことではなく、そんな中で、女性の休暇中にどのように人事異動を行ったり、実際に現場でどのような対応、制度づくりをされてきたのか伺いました。

 

株式会社インテリジェンスオフィス 営業部 営業リーダー

柴田 千聖 さん
採用支援事業や研修事業、京都ヒトマナビカフェの運営を行うインテリジェンスオフィスでは、社内で初めて出産される女性が現れた際にキッズルームを設けるなど、社員のライフイベントのその都度、新しい取り組みを模索・導入されてきました。今回はその事例や、想いについて伺いました。

 

一般財団法人近畿健康管理センター 事務局 総務部

正岡 由美子 さん

近畿健康管理センターは、いち早く女性サポートの制度を研究、導入されてきた会社です。企業や学校の定期検診の受託や、人間ドックなど行うこちらの会社では人こそが資本優秀な人材を失うのを食い止めるべく、女性が復帰できる会社づくり、制度づくりを行ってきました。今回は実際にどんな取り組みを行っているのかや、そこに至るまでの経緯などを伺いました。

参加者の自己紹介ももちろん行います。

今回は、会社の中でこれから女性サポートを何かしら導入していかなければならないという方、仕事の中でクライアントに導入のアドバイスをしたい方、現在マザーズジョブカフェで保育と社会復帰の準備中の方などに参加していただきました。

異なる3社の事例紹介

参加者の自己紹介の後はゲストスピーカーの方々の自己紹介と、サポート事例の紹介です。

◆株式会社藤井大丸・上杉雪恵さん

 

予期せぬ人事異動で人事担当に

学生の頃、自分に事務職は向いていないだろうと思い、百貨店に就職した上杉さんは、入社一ヶ月後に予期せず人事に異動になり、そこから今まで17年間、人事担当として活躍されてきました。ご自身も産休育休の取得経験があり、現在は主に部下と二人で人事の業務をされています。

 

取得者の希望に沿う形で工夫されてきた制度

「社員のアンケートで、上司が女性サポートの利用に理解があるという項目に、7人中6人が○を付けてくれたことが、嬉しかった」

藤井大丸では、全社員140名のうち75名ほどが女性、その中でも十数名はこどもを持ちながら働かれているそう。社内では、女性サポートに関するアンケートなども行われており、そこでの声を元に、上杉さんたちがより社員のニーズに合った形に、制度を変化させてきました。社員の子どもが実際に成長する過程で、時短勤務利用の法定基準3歳の時点では、まだまだ大変だという声があがり、そこから小学校1年生まで利用期間を延長、現在では小学校3年生まで利用することができるようになっています。

株式会社インテリジェンスオフィス・柴田千聖さん

 

今月育休から復帰したばかり

株式会社インテリジェンスオフィスは、平均年齢29歳、社員70名ほどの小さな会社。柴田さんと先輩は、社内で最初の出産予定者として、社長とミーティングを重ねました。

 

「この人が働こうと思ったらどういうサポートをすればいいのか」

こちらの会社では、社員がどういう人生を歩んでいきたいのか、どんな働き方をしたいのか、そこでどんな問題があるのかを、しっかり話し合うことで、それぞれの生き方に沿ったサポートを行っているそう。

 

先輩は社内のキッズルームで、私は保育園で

先に出産をした先輩は、産休中に保育園を探す『保活』を行っていたけれど、いっぱいでなかなか入ることができませんでした。彼女は職場に復帰したいという想いを伝え、じゃあ、どうすれば彼女がすぐに復帰できるか、社内で考えた結果、オフィスにキッズルームが誕生。彼女の早く職場に戻りたい!子育てと両立していきたい!という想いを、みんなで実現してしまいました。

 

また柴田さんのケースでは、通勤に時間がかかるため、社内のキッズルームは利用しづらく、保育園に通うことを選択しました。このように、それぞれの働き方・目指す姿に寄り添う形でサポートを行っているのです。

一般財団法人近畿健康管理センター・正岡由美子さん

 

女性サポートに携わってきて早10年以上

正岡さんは入社9年目に管理部から総務部に異動になり、それから、8年を経て現在課長として活躍されています。異動当時、総務部には産休前の女性が2名在籍しており、彼女たちの仕事を一気に引き受けるという経験をされたそうです。

 

「人材を失いたくない」働いてもらうにはどうしたらいいのか

正岡さんが入社した当時は、産休・育休といった女性サポートが導入されてやっと1年が経った頃でした。今でこそ500名弱のスタッフの内、女性が約半数働く会社ですが、当時はまだまだ女性は多くなく、女性管理職はまだほんの少ししかいませんでした。育休復帰後の制度もまだまだ整っておらず、復帰したけども続けることができないという現状がありました。

『企業は人なり』…このままでは大切な人材を、ライフステージの節目で失ってしまう。これを防ぐために、どうすればいいのか従業員一人一人が満足できる環境をめざし、考えていきました。

現場の女性社員の、「これからも頑張りたい!」という意思を確認して、じゃあどうすれば働き続けられるのかと、制度づくりを行ってきたのです。

それぞれの会社の想いをパネルディスカッションで

パネルディスカッションでは、それぞれの会社での制度導入きっかけや、秘話、直面してきた課題や、悩みについて伺いました。

 

 

藤井大丸・上杉さん『決め手は従業員アンケート』

上杉さんは、時短勤務を『小学校3年生まで延長する』決め手となったのは、事例紹介でも伺った、全従業員へのアンケートだと語ります。

実際のアンケートで、半数以上が時短勤務の延長を望み、具体的な期間についてもっとも多かったのが、小学校3年生までという回答だったのです。

しかしそうはいっても、百貨店の現場は、15時からがもっとも忙しい時間帯。時短勤務で16時に退社するとなると、20時までの営業時間の内、一番人出が欲しいときに人が減ってしまうことになります。後に残された人が大変なのは目に見えていますよね。これについて、上杉さんたちは比較的影響が少ない余裕のある部署へ、時短勤務者に異動してもらうという対策を行っています。たとえば、地下食品フロアの受付。現状2名の時短勤務者がお勤めだそう。そのほか、自分の裁量である程度仕事ができる部署など、その都度工夫を行いながら、無理のない環境づくりに努めています。

 

インテリジェンスオフィス・柴田さん『大切なのは想いの共有』

柴田さんは、入社の段階から社長と、お互いにどんなことを大切にして、どういう人生を歩みたいのか、しっかりと話をしてきました。その結果、『この会社でできるのかな・・・』と思うところも、『だったらお前が作ればいいじゃないか』というスタンスで話してくれる関係性を築けてきたといいます。そうやって社員一人一人と想いの共有をすることで、ライフイベントの際、こどもが居ても働きたいということや、逆に、結婚するからやめたいと言ったとしても、『ずっと言ってたもんな』と、誰一人驚かないような社風になっていったそうです。

そして今、この状況から、制度としてこれらをルール化するべきなのかどうか、柴田さんたちはとても悩んでいます。人が増えているのは事実だけれど、今のように想いの共有が十分にできていない人が、休みを取りたいといったときどうなるんだろう。成長途中にある小さな会社として、まだまだ模索を続けているそうです。

 

近畿健康管理センター・正岡さん『これからというときの退職を食い止めたかった』

女性サポート制度の導入において、関西をけん引してきた近畿健康管理センターも、もともとは小さいところからはじまり今があると、正岡さんは語ります。一番食い止めたかったのは、これからというときにやめられてしまうこと。何とかしなければと始まった女性サポート制度の検討・導入によって、徐々に職場の風土は醸成されてきたそうです。

朝が早い検診業界ならではの制度活用として、早出をして、夕方はお迎えに行くために早く退社するという人もいるそうです。

時短勤務者のいる中で、シングルに負荷がかかる問題は同じく発生しているようで、支える人たちも、『お母さん社員を助けてあげたい』という気持ちでやっているけれど、そうはいっても仕事がふりかかり大変な部分はあります。現在は、これを会社でサポートできるようにしていけたらと、更なる挑戦を続けています。

会場とのQ&A

ディスカッションの後半では、会場の参加者も交えて、Q&Aを行っていきました。

 

 

Q「女性のモチベーションはいろいろあると思う。働き続けたい人もいれば、私はそうじゃないという方もいるはず。そんな中での調整とかバランスはどう考える?」

 

上杉さん「藤井大丸では、ここ最近は結婚してやめるなんていうのはほぼありません。経済的な理由もあるかもしれませんが、夫婦共働きが当たり前のような雰囲気になっていて、出産後戻ってくることも、当たり前になっていますね。少なくとも今年出産予定の社員は、全員復帰を望んでいます。やはり、社内にそういう事例が多いというのも理由かと思います。これから適齢期に入る女性たちもいますし、それぞれがどう思っているのかはわからないけれど、本当にすぐそばに制度を利用する女性がいるので、復帰することに対して抵抗があるという声はききませんね。主人の転勤でどうしても退職するというのはありますけど。」

 

柴田さん「私の会社では、「女性だから」という感覚は一切ないです。私のケースはあくまで一例なんですよね。私の先輩も、バリバリ働く人もやめる人も、それぞれが「こういう道で生きていきたい」という話をしているし、それぞれの例を見てきて、私はこうしようと思います、という選択をしているだけなので、それに対して『私だけ・・・』という風に思うことはないです。男も女も関係なく、それぞれがこうしたいからこうするんだなというのが伝わっているんですよね。自分は海外で仕事をしたいと言っていた上司は海外に行き、この会社で務めた後もステップアップしていきたいという人は、もうすぐ会社を辞めます。『小さいから、この規模だから』というのはもちろんあるんですけどね。

私自身は、実際バリバリ働きたいと思っていた中で、出産して休まないといけないというのはぶつかった壁でした。ここの部分はやっぱり女性として考えておかないといけない所なんですよね。そんな壁や機会が訪れたときには、こういう人にはこういうサポートが必要だよねというミーティングを、社長・先輩・男性も交えて意見を言い合いながら、それをどうやっていけば叶えられるのか考えています。」

 

 

Q「育児休業中のサポートはありますか?また、介護休暇など、男性社員の休業はありますか」

 

正岡さん「社内の情報提供や、職場復帰前の研修3日間、12時間のものを、希望の方は受けることができます。休業中の状況(機材のアップデートなど)を知っていただいて、安心して復帰していただけるように考えています。男性の取得ですが、育児休業。介護休業ともに、男性も取得が可能です。既に3名の男性が育児休業を取得しています。介護休業も過去に利用者があり、現在は制度の拡充を積極的に行っていこうと考えています。」

 

柴田さん「休業についてですが、男性も取れます。というのも、きっちり一律の制度がありませんので、そうしたいという方がいれば、そういう働き方もできると思います。休業中のサポートについては、ルールではないのですが、自分の時を思い返すと34か月に一回くらい、子どもを連れてオフィスに行っていました。来てくださいと言われていたわけではなく、自分が連れて行きたいと思ったり、みんなが『連れて来いよ!』と声をかけてくれたので、「3か月になりました~」という報告に行ったり、Facebookで写真を公開して、社内の人に『大きくなったね!』とコメントをもらったり、今思えば、そういうことがサポートになっているのかなと思ったりします。今後もしルール(制度)を作るなら、『こういうことも入れていかないとね』と話しています。後は、社内の期末の打ち上げや決起会に、『子どもの様子が大丈夫なようであればおいで!』といってもらえたり、社長から手紙で、社員旅行の様子を写真をつけて送ってくれたり、そんなことがうちのサポートになるのかもしれませんね。」

 

上杉さん「休業中の情報交換としては、給与明細を送る際、毎月一回の社内情報誌と一緒に、人事担当から一言添えて送るようにしています。取得者さんからは、捺印して返信があった際、一筆書いてあったり。あと、会社が百貨店ですので、お子さんとお買い物にきてくださったりもしますね。そういう意味では、気軽に会社によってもらって、情報交換しています。制度としてあるのは、育児休業中の職場復帰プログラムとして、休業中に自己啓発など勉強をされた場合、事後ですがその費用を負担するものや、希望制で、近況をききあう面談を行っています。勉強では、制度を活用して休業中にファイナンシャルプランナーの資格を取りましたという方もいましたね。面談は、私も実際に経験しましたが、なかなかこどもがいて会社に出てくるというのは難しいというのはありますが。

男性の休業者ですが、今はまだありません。従業員アンケートでは、とってみたいという人もいましたが、やはり、実際休む場合どういう風にすればいいのか、報酬の取決めなど、まだ整っていないというのはありますね。」

 

Q「最後に、なぜみなさんの会社はそうやってうまく制度を作って行けたのかを、他の会社の社員さんにアドバイスできることがあればお願いします。」

 

上杉さん「弊社では、従業員を家族のようにという創業当時からの社風が今でも残っていて、とはいえ、私が入社した当初の役員の方々は大概は「女性は結婚したらやめるもんや、16時に帰るなんて何しに来てんのかわからん」という方もいらっしゃいました。しかし、やはり百貨店なので、お客様は女性ですよね。女性が女性ならではの意見や、生き方を実現していくことに対して、世代交代をした今は、役員のみなさんは理解してくれているのかなあと思います。」

 

柴田さん「私たちの会社は、採用・人材など会社づくりのお手伝いをしている会社です。やっぱり会社は人が作っているものなので、会社という箱が何かしてくれるわけではなくて、自分が何かすれば会社が動いてるのと一緒なんだよということを、社長や上司の言葉から、『その通りだなあ、自分が動かなかったら変わらないんだなあ』そうやって感じとって動いていくべきなんですよね。そしてまず、そんな会社づくりをする私たち自身がそうでないといけないですよね。自分がどうやって生きていきたいのか、周りに言っていくことや、自分自身言うだけの仕事をすること。「お前が言うんやったら」と言ってもらえるような仕事をしていくことで、会社と社員支え合って、働いていけるのだと思います。」

 

正岡さん「最終的には男性女性関係ないんじゃないかなと思います。一人一人の生き方に関わってくるもの・キャリア形成は人それぞれですよね。続けることはもちろん大切ですが、それって結局はそれぞれがどんな風に働いていきたいかということになってくる。トップの理解も、それを支える社員の努力もどちらも大切なんですが、今現在、自分の会社はなかなか女性の働き方に理解がないということなら、ワーク・ライフ・バランスを保てる会社は大変企業イメージが良いので、それを説得材料にしてみてはいかがでしょうか。」

 

 

ディスカッションは交流会でも継続!

パネルディスカッションの後は、食事をしながら、参加者・登壇者がより近くで語り合っていきました。

 

参加者の中には、現在保活(保育園を探す活動)中の方や、社内のサポート制度事情に不満のある方などもいらっしゃいました。交流中に出た生の意見を少しご紹介します。

 

『本当になかなか入れそうな保育園が見つからない。こうやって育休中に保育園探しに走り回っていたら、何のための育休かわからないですよね・・・でも、やるからには楽しんでやらないとと思って、前向きにがんばっています。』

 

『いろんな種類・規模の会社のお話をきけて、参考になるところがたくさんありました。でも、なかなか自分の会社で実現するのは、難しいですね。少しずつ働きかけていくしかないんだろうなあと思います。』

*今回参加された方より*

・具体的なお話がいくつもあり、非常に参考になりました。事例を増やす、想いを共有する、お互い様・・などなど。

・育休を取得する人や子育て中の人が増えることで、職場の風土が変化していくのだなあと感じた。

・みなさんとの距離が近く、なじみやすかったです!

自分と同じことを考えておられる方が多いことを実感し、勇気が出ました。楽しかったです。

今回は実際に現場で、女性のサポートに携わる方たちに、どんな風な制度があるのかはもちろん、どんな気持ちで・想いで制度を作っていったのかもきくことができる会になりましたね。既にたくさんの女性が働くことに前向きな世の中になってきているのを実感しました。これから、今回の3社のような会社が増え、それぞれにあった形のサポートを、お互いに作っていけたらと思いますね。今回も本当にありがとうござました!

*チアッチ*